コラム

「引き寄せ」の落とし穴

最近、日本の書店でも「引き寄せの法則」に関連した著書がいくつか出回るようになりました。

今までは主に欧米のビジネス界で使われていたこの法則を、日本の環境に合わせてわかりやすく書き直していて、「引き寄せファン」も増えてきているようです。

「引き寄せの法則」をご存知ない方のために簡単に説明しますと、この法則自体は決して最近になって生まれたものではなく、1980年代から成功法則としてすでに浸透していました。ロンダ・バーン氏やエイブラハム氏によって、この法則が世界中に広まったと言ってもいいでしょう。

この当時の「引き寄せの法則」は、とにかく欲しいものがあったら、その欲しいものをイメージし続けることの重要性が説かれています。


その後、法則の応用として、

豊かなことを考えると、豊かな現実を引き寄せる(プラス思考がプラスの現実を呼ぶ)
不愉快なことを考えると、不愉快な現実を引き寄せる(マイナス思考がマイナスの現実を呼ぶ)

という「思考したものが現実化する」という点が重視されてきました。ナポレオン・ヒル氏や齋藤一人氏の啓発書も根底にはこの法則が関係しています。

水晶工房の満月通信コラムでも、随所にこの理論の応用法則を折り込んでいます。


この法則はもちろん成功法則として大変素晴らしいものなのですが、1つ大切なことが抜け落ちているんです。今回はその点について詳しく説明いたします。(「引き寄せの法則」の関係書を読んだことがない方でも、問題なく実践できますのでご安心ください。)



欲しいものがある

だから、それをイメージする。


その行動自体は間違いではないのですが、「欲しいものがある」という段階で、多くの場合、その欲しいものがまだ手に入っていない状態、つまり「欠乏感」が付随します。


それは、そうですよね。

「欲しい」ってことは、まだ「ない」のですから。「ない」という状態が動機となって、欲しがるわけです。

たとえば、

新築のマンションが欲しい!
(今は新築のマンションを買うお金が「ない」・・・)

昇進して部長になりたい!
(今は満足いく役職じゃ「ない」・・・)

病気を治して健康になりたい!
(今は病気を抱えていて健康では「ない」・・・)

素敵な恋人がほしい!
(今は恋人がい「ない」・・・)

音楽コンクールで優勝したい!
(今は優勝できるレベルまで達してい「ない」・・・)

ダイエットをして綺麗になりたい!
(今は満足いくプロポーションでは「ない」・・・)

我が子をもっと素直で賢く育てたい!
(今はワガママで言うことをきか「ない」・・・)

のように、いろいろ事例は出てきます。願望のウラには、概して「ない状態」が付いています。


でも「引き寄せの法則」の怖いところは、このような「欠乏感」をもったまま欲すると「欠乏した現実をそのまま引き寄せてしまう」という点です。

この法則は実は100%自動的に作動してしまいます。


「欲しい!」とか「こうなりたい!」と思うこと自体は問題ありません。
人生を豊かにするため、自分の更なる目標を達成するために、おおいに欲しがっていいんです。
欲しがること、夢をもつことに一切、罪悪感をもってはいけません。

しかし欠乏感。つまり「満たされていない状態」を満たそうという動機で欲しがると、なかなか欲しい人生は手に入りません。ずっと、満たされていないものを埋め続ける「欲しがっている自分」が延々と現れ続けてしまうのです。たまたま一時的に欲しいものが手に入ったとしても、すぐに虚無感が襲ってきて、不足を補い続けることになります。

そんな自分の未来を、自ら引き寄せてしまうわけです。


これは例外なく、全員に必ず起こってしまう「宇宙の絶対法則」です。


一般に広がっている「引き寄せの法則」は、この最も重要な点に触れていないので、かえって逆効果になってしまう事例が非常に多いんです。


じゃあ、どうすればいいの? ってことになりますよね。



欠乏感。満たされていないという思考。


は、数字で例えると「-1(マイナス1)」だとします。

足りないわけですから、マイナスの領域なわけです。


しかし「引き寄せの法則」の不思議なところは、「-1」からスタートをしてしまうと、ずっとマイナスから抜けられないんです。

「マイナスな状態の自分」をずっと引き寄せ続けてしまうのです。


この過ちから早く脱却するためには、スタート地点を「マイナス」ではなく、「ゼロ」にしなければなりません。

つまり、「足りていない」という思考を変えることが唯一の方法となります。

「-1」と「0」とでは見た目にはわからないようなたった「1」の差しかありませんが、ここに大きな壁が立ちはだかっているのです。



まずは、今のあなたの状態を「完全ではないにしても、十分足りている」という思考に書き換えてください。

先ほどの例にあてはめますと、

新築マンションを買うお金がないかもしれません
部長職には達していないかもしれません
病気を患っていて生活が不自由かもしれません
望みの恋人が現れていないかもしれません
なかなか楽器が上達しないかもしれません
満足いく体型ではないかもしれません
子育てがうまくいっていないかもしれません

でも。

でも。でも。


まずは十分足りている。すでに満たされている。そう思ってください。


ごはんを食べられて、寝るところがあって、仕事もあって、ときどき息抜きすることできて、限られているかもしれませんが自由な時間もあるわけです。


まだまだ欲しいもの、欲しい状況はたくさんありますが、それでも現状が「欠乏状態(=マイナス)」ではないという認識が重要となります。


欲しいものはあくまでも「プラスアルファ」であって、足りないものを補う「マイナスの補填」ではないのです。



「幸せになりたい」

これは「禁句」です。だって、「今は幸せじゃない!」と宣言しているようなものですから。

つまり思考が「マイナス」の位置にいるわけです。先ほど申し上げたとおり「マイナス」からは脱却できません。

「幸せになりたい」

ではなく、

「幸せはすでにもっている」

というところからスタートです。

でも、もっと自分のやりたいことのために、欲しがる。そうすると確実に引き寄せられます。



サプリメントなんかも注意が必要です。
そもそもサプリメントという名前自体が良くないのですが「不足している栄養素を補う」という意味合いになります。つまり「マイナスの補填」です。

そう思ってサプリメントを飲むと、残念ながら健康にはなれません。


1)病気になりたくないからサプリメントを飲む
2)もっと健康になりたいからサプリメントを飲む


この2つは意味は同じですが、1)のほうは不足を補う思考が潜在意識に強く浸透するため、残念ながら病気を引き寄せてしまいます。この場合はプラスアルファの思考、つまり2)のように考えなければなりません。

薬(くすり)だってそうです。本来は自分自身の力(ホメオスタシス)によって自然治癒する能力をもっているのです。それを熟知している人は決して西洋薬を飲みませんが、事情があってどうしても飲まなければならない場合でも、本来の自分の治癒力で十分に足りている。でも、改善を早くするため(プラスアルファ)のために薬を飲むという意識が大切です。



「自分磨き」と称して、お稽古や習い事、資格試験などを懸命にがんばる人。特に女性に多いですよね。

これは大抵の場合「目指している合格ラインの自分」というイメージに対して、不足を補っている行動です。つまりスタート地点が「マイナス」ですから、残念ながら幸せになれません。


今の自分でも十分満足。
今の自分が大好き。
今の自分にも得意なことがある。
今の自分もなかなかいいぞ~!

ここからスタートです。

でも、さらに人生ステージを高めたいから「プラスアルファ」としてお稽古、習い事をする。

これならOKです。


とにかく「不足」を埋めない。

そもそも「不足」と考えない。

これが「引き寄せの法則」の隠れた重要ポイントです。



少し応用事例を挙げましょう。

洋服を買うために、10,000円を使ったとします。

そのときに、ほしい洋服は手に入ったけど、おこづかいが10,000円減っちゃった・・・・

と、減ったこと、前よりも不足した状態になったこと、に思考が奪われるクセのある人は、なかなか幸せになれないでしょう。


とにかく買ったのです。

買うと決めて、実際に買ったからには、減ったお金のことなんかいつまでも考えないで、

10,000円分の幸せを手にしたこと
10,000円の洋服でこれから体験する素敵なこと

だけを考えてください。

買い物をしたということは、お金が減ったことでもありますが、モノや体験を得たことでもあるのです。「素敵な未来と交換した」とも言えます。

どちらにフォーカスするかによって、人生は雲泥の差となって現れます。

特に食事をした後に、

5,000円使っちゃった・・・
あー、いっぱい食べちゃってまた太る・・・

なんて2つも不足の思考を出してしまうケースなんて最悪ですね。不幸体質一直線です。


特に皆さんは日常的にパワーストーンを使っているので、「ゼロ」の状態からプラスを積み上げていくスピードはものすごい勢いをもっています。他の人よりも体内周波数を高めるエンジンが強いからです。

パワーストーンにも「マイナス」を「ゼロ」までもっていく作用もありますが、どうしても「引き寄せの法則」のマイナス部分が強く作用してしまいますので、パワーストーンの力だけでは限界があります。パワーストーンを使っているのになかなか運気の流れが良くならないという人は、ぜひ思考のスタート地点を見直してみてください。

本来であればとっくに「プラス5」とか「プラス10」にレベルアップしているはずの運気が、スタート地点をマイナスに置いていることが足かせとなって、脱却できていないだけかもしれません。



「小さな幸せ」に気がつくことから始めて、まずは自分は今でも十分満たされていると再認識することから始めましょう。


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